RCJ通信

RCJ通信 第22号(2021年6月3日)

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 第22号

 より良い静電気対策管理のための
 RCJ通信
               2021.6.3 発行
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▼RCJ通信
静電気
対策管理に従事する方々に向けて、RCJが開催するイベント情報をはじめ、規格の
動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表
と感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページ
のトピックでお知らせいたしますのでご留意ください。
RCJ ESD COORDINATOR資格認証、資格更新セミナーでの新型コロナウイルス感染予防
対策につきましては、ホームページをご参照ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/oshirase/2651

▼今月のもくじ
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【1】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー開催のお知らせ
【2】RCJ ESD COORDINATOR認証カード発行申請書提出のお願い
【3】ESD管理プロセス認証受審のご紹介
【4】「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」出展社募集のご案内
【5】ESD対策に関連する規格の動向(18)
【6】静電気対策Q&A(22)
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【1】次回「RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー」開催のお知らせ

年2回実施される資格認証セミナーの次回開催日時をお知らせいたします。
「第39回RCJ ESDコーディネータ資格認証セミナー」は、5月13日、14日の開催を
予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の期間延長に伴い
まして、延期させていただきました。
この5月13日、14日の代替として8月19日(木)、20日(金)に大田区産業プラザ
での開催を予定しております。
  
■第39回RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー ──────────────

開催日時:2021年8月19日(木)、20日(金)
会場:大田区産業プラザ(https://www.pio-ota.net/)

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/esdc-seminar

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【2】RCJ ESD COORDINATOR認証カード発行申請書提出のお願い

資格有効期限が「6月30日」の方で、認証カード発行申請書のご提出がお済みでな
い方は、至急下記フォームよりご提出をお願いいたします。

★資格登録維持年会費納入意志のある方で、納入が遅れる場合は、納入前でも認証
カード発行申請書をご提出くださいますようお願いいたします。

認証カード発行申請書のご提出はこちらからお願いいたします。:

認証カード発行申請

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【3】ESD管理プロセス認証受審のご紹介

日本電子部品信頼性センターでは、静電気対策のシステム構築や管理が正しくなさ
れていることをを第三者が証明する「ESD管理プロセス認証」を行っています。
この認証制度は国際規格を発行するIECが運営する国際認証機関IECQの認証を得るこ
とができる制度です。近年、静電気対策は静電気に敏感な電子デバイスを手掛ける
企業にとって必須事項となっており、国際的に規格適合の要求が高まっています。
特に海外のクライアントとのコンセンサスとして、同一規格による静電気対策の履行
を求められることが多くなり、英文のIEC61340 5-1やANSI S20.20への適用が求めら
れます。しかもいくつかのクライアントに対し、それぞれのクライアントの要求に
合わせた静電気対策を行うことになると多額の費用と人的リソースの浪費につなが
ります。
RCJが行う「ESD管理プロセス認証」は、国際認証機関のIECQの認証が得られること
から国内、国外を問わずその妥当性が高く評価され、各クライアントに対しても
強力なアピール効果が期待できます。RCJが発行するRCJS 5-1は、IEC 61340 5-1と
同等とIECQが認めたことにより、審査は日本語のRCJS 5-1を使って受審することが
できます。承認を得た後も静電気対策管理は運用しやすく、ESDコーディネータの
労力も軽減されます。
ESD管理プロセスの受審については下記RCJホームページに詳しく掲載されています
ので一度ご覧になってみてください。ESD管理プロセス認証の受審をお待ちしており
ます。

詳しくはこちらをご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-controlsystem-2 

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【4】「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」出展社募集のご案内

RCJでは電子デバイスの信頼性及びEOS/ESD/EMCに特化した「RCJ信頼性シンポジウム」
に併設の機器、資材、ソフトウェア等の展示会「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」を
開催しています。
この展示会では、信頼性技術者や生産・製造技術者、品質保証技術者等を対象に、
より進歩した静電気対策技術、信頼性評価技術、故障解析技術、信頼性向上対策の紹介
を目的としております。特に近年、各種電子デバイスが静電気の影響を受けやすく
なっており、静電気対策は必須事項となっております。これら重要な静電気対策や
解析・測定機器の展示会への来場者は、上記シンポジウムへの参加者、ESDコーディ
ネータなど静電気対策に深くかかわっている方が多く、効果的な宣伝が可能です。
また、展示会場内にワークショップも開催しており出展社による新技術・新製品を
紹介することもできます。静電気対策用品、材料・計測機器等を手掛ける企業にとっ
て対策品選択の責任者などキーバーソンに効果的にPRできる絶好の機会となります。
現在出展社の募集を開始しており第1回目の出展委員会を7月上旬に行う予定です。
ご興味のある方はぜひこの機会に出展のご検討をお願い申し上げます。

信頼性・ESD対策技術展示会のWebサイトはこちら:https://rcj.or.jp/exhibition
お問い合わせは、info@rcj.or.jp までお寄せください。

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【5】ESD対策に関連する規格の動向(18)

今回はIEC 61340 TR 5-4 Protection electronic devices from electrostatic phenomena
– Compliance verificationの解説です。5-1の後に5-2と5-3があるのですが、5-2は
RCJS 5-2とほとんど同じ、また5-3はRCJS 5-1付属書Iとほとんど同じなので割愛させ
ていただきます。5-4 Compliance verification(邦題:適合性検証)は日常に行う
検証方法について書かれています。5-1はESD管理アイテムの製品認証の基準として
規定されているため検証方法が少し厳格です。これに対し、5-4は頻繁に行わなけれ
ばならないESD管理用アイテムのチェックを5-1の要求事項から外れず、日常作業とし
て簡便でありながら確実に評価できる方法として発行されました。現在はTR(技術
報告書)のため規格ではありませんが、TC101国際会議ではTS(技術仕様書)への
格上げが検討されています。
この技術報告書の構成は他の規格文書と同様に「1.適用範囲」、「2.引用規格」、
「3.用語と定義」、「4.人体安全」となっています。適用範囲には、ここで記述
される試験方法は5-1やその他の試験方法に基づいているものの簡略化されているこ
とからESDコーディネータのような力量のある要員によって実施されるべし、と記述
されています。5項から使用測定器や検査装置など実務について書かれています。
以降、「6.接地システム」、「7.作業表面」、「8.リストストラップ」、
「9.人体-履物システム」、「10.床」、「11.人体-履物-床システム」、「12.椅子」、
「13.イオナイザ」、「14.移動装置」、15.16.17.と接地可能な衣類と一般のESD管理
用衣類の検証方法について、「18.包装」、「19.絶縁体」、「20.孤立導体」と続いて
います。各項目内は同じ構成となっており、参照される規格、目的、試験装置、試験
手順、トラブルシューティングです。
検証結果が不具合となったときの対処方法が書いてあり、迷わず作業を進める参考に
なると思います。また付属書も充実していてA~Gまでありますが、中には再現が難し
い方法の記述などもありますので、採用の要不要の検討が必要かと思われます。
次回は、IEC 61340 TR 5-5電子製品製造で使用する包装システムについて解説します。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【6】静電気対策Q&A(22)

■イオナイザについての質問 ───────────────────────

イオナイザを長持ちさせる方法を教えてください。

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◆回答例◆

イオナイザメーカに確認することが一番ですが、一般的な電圧印加式イオナイザに
対する方法として回答します。寿命を延ばすと言っても、本来の寿命を延ばすこと
はできませんが、寿命が短くなってしまう要因を取り除いて長く使えるようにする
ことは可能です。
イオナイザの大敵はなんといっても「汚れ」と「湿気(結露)」です。イオナイザ
は放電電極という消耗する部品と高電圧回路といった「絶縁耐力」が必要な部分か
ら構成されています。まず電極ですが、電極先端部分に高電圧を印加しコロナ放電
をさせると電極の先端が放電によって徐々に摩耗します。最近は摩耗しにくい特殊
な電極が採用されたイオナイザもありますので、性能維持という点ではイオナイザ
電極材料の吟味も必要です。コロナ放電させる電極には高電圧が印加されているこ
とから、クーロン力で電極先端に塵埃が付着します。放っておくとタンポポの種の
ように先端に塵埃が蓄積し効果は著しく低下します。静電気対策基準でイオナイザ
を清掃することが義務付けられているのはこのためです。汚れを除去すれば性能は
復帰しますが、ひどく汚れて除去できなくなると性能は復帰しません。
そしてもう一つ寿命に関わるのが「絶縁耐力」です。高圧発生回路、放電電極の保持
部分など高圧が印加されている部分と接地体を仕切る絶縁材料が汚れによって絶縁
性が低下すると、徐々にそこから高電圧が接地に向かって漏洩し始めます。気が付い
てすぐに汚れと漏洩経路を取り除けばもとに復帰しますが、漏洩経路を伝わり始め
た高圧電流は徐々に経路を炭化させます。炭化した漏洩経路が形成されると、一気
に電流が流れ始め絶縁体を焼損させます。
最近はイオナイザにいろいろな安全回路がついているので自動で停止してくれるも
のもありますが、気が付かないでいるとイオナイザが故障するだけでなく、事故に
もつながりますので注意が必要です。この絶縁劣化は汚れによるものだけでなく
高湿の環境でも同じような現象を起こしますので湿度管理にも気を付けてください。
ファン型のイオナイザでは筐体内に塵埃が溜まると内部回路の絶縁を悪くし事故に
なりかねないのでこれも注意が必要です。
イオナイザはきれいに維持して使用することで長く効果的に使うことができます。