RCJ信頼性活動の概要
1. RCJ-信頼性活動の位置づけ
RCJの設立目的の一つである信頼性技術の開発と普及を、継続して推進しています。調査研究委員会活動と信頼性シンポジウムを通して、日本産業界の製造品質・高信頼性を支えるために信頼性事業の展開を行っています。
2. 信頼性技術に関する調査研究の着目点
信頼性は、素材製造から機器・システムまで、いずれの段階でも重要です。RCJは、各段階について対応委員会を設置し、及びシンポジウムを開催し、情報交換の場を提供しています。但し、電子部品・デバイスの視点からの対応に着目しています。
3. 調査研究委員会
3.1 故障物理研究委員会
故障物理委員会は、半導体デバイスの故障物理を取り上げている委員会で40年以上も継続しています。時代毎に、その時代で注目されているテーマを取り上げ、内外文献を中心に調査研究を進めてきました。近年は省電力化で注目されている次世代パワー半導体の信頼性、及びムーアの法則の限界の一因と考えられている素子ばらつきの問題を取り上げています。
3.2 電子部品信頼性調査委員会(機能安全を主テーマ)
近年自動車に搭載される電子制御装置に機能安全への取り組みが求められていることから、“機能安全規格の理解と電子部品の信頼性へ及ぼす影響”を主テーマとした調査研究を2013年から開始しました。
主な活動内容は、次の通りです。
- 機能安全規格(IEC 61508、ISO 26262)の理解
- 機能安全規格の電子部品信頼性への影響
(故障率データの要求、ICには安全機能組み込み要求など) - 電子部品の故障率モデル(IEC TR 62380、217Plus等)の調査
電子機器、モジュール等のメーカから多い要望は、自社製品の故障率を予測する際に必要となる構成電子部品の故障率の値を知ることです。その故障率を知る一つの手段が公表されている故障率データを用いることです。この故障率モデルの最新版として、IEC TR 62380、217Plus、FIDES等があり、これらのモデル内容の説明と故障率の求め方をまとめた資料を発行していきます。
3.3 基板・モジュール静電気対策委員会
部品単体のESDを拡張し、多種類の部品を搭載したモジュールのESD対策について調査検討を行う委員会を新設しました。この委員会の目的は、内外の研究報告のレビューをはじめ、自社での困り事などを持ち寄り、検討を行うことで、共通的な問題解決を探求することです。
基板モジュールレベルのコンポーネントレベル、システムレベルに対する位置づけ、標準的なESD試験方法、具体的対策(帯電電位か帯電量か)などに注目して調査研究を進めます。
4. RCJ信頼性シンポジウム
平成3年度から、信頼性・ESDに関する情報交換の場としてRCJ信頼性シンポジウムを開催しています。今年度は26回目のシンポジウムとなります。RCJ信頼性シンポジウムは、次の2つのシンポジウムからなっています。
- EOS/ESD/EMCシンポジウム(ESD対策、測定、デバイス・システム保護)
- 電子部品・デバイスの信頼性シンポジウム(半導体、電子部品の信頼性)
ESD対策技術、電子部品・デバイスの信頼性に関する討論の場の提供による、日本の技術向上に寄与してきました。
より現場視点でのシンポジウムになるように、次のような重点化をはかります。
- EOS/ESD/EMCシンポジウム
- 海外との交流
- デバイス・システムのESD耐性強化
- 工程不良対策実践事例
- 電子部品・デバイスのシンポジウム
- 信頼性セミナー(故障物理研究委員会の報告)の充実
- 機能安全セミナー(機能安全研究委員会の報告)の充実
5. 信頼性・ESD対策技術展示会
信頼性・ESD対策技術展示会は、静電気の影響を受けやすい電子デバイス・部品、電子機器などを扱う信頼性技術者、設計技術者、品質技術者の方々を対象に、より進歩した静電気障害対策技術、静電気測定技術、故障解析技術を扱う専門の展示会です。