RCJ通信

RCJ通信 第58号(2024年6月6日)

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 第58号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                 2024.6.6発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を
発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼今月のもくじ
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【1】「ESD管理システム認証」受審のご紹介
【2】「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」出展社募集のご案内
【3】次回 ESD COORDINATOR資格認証再試験のご案内
【4】次回静電気対策従事者向けエキスパートセミナーのご案内
【5】ESDコーディネータ登録情報更新のお願い
【6】静電気対策Q&A(58)
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【1】「ESD管理システム認証」受審のご紹介

日本電子部品信頼性センター(RCJ)では、静電気対策のシステム構築や管理が正し
くなされていることを第三者が証明する「ESD管理システム認証」を行っています。
この認証制度は国際規格を発行するIECが運営する国際認証機関IECQの認証を得る
ことができる制度です。近年、静電気対策は静電気に敏感な電子デバイスを手掛け
る企業にとって必須事項となっており、国際的に規格適合の要求が高まっています。
特に海外のクライアントとのコンセンサスとして、同一規格による静電気対策の履行
を求められることが多くなり、英文のIEC61340 5-1やANSI S20.20への適用が求めら
れます。しかもいくつかのクライアントに対し、それぞれのクライアントの要求に
合わせた静電気対策を行うことになると多額の費用と人的リソースの浪費につなが
ります。
RCJが行う「ESD管理システム認証」は、国際認証機関のIECQの認証が得られること
から国内、国外を問わずその妥当性が高く評価され、各クライアントに対しても強力
なアピール効果が期待できます。RCJが発行するRCJS 5-1は、IEC 61340 5-1と同等と
IECQが認めたことにより、審査は日本語のRCJS 5-1を使って受審することができます。
承認を得た後も静電気対策管理は運用しやすく、ESDコーディネータの労力も軽減さ
れます。ESD管理プロセス認証の受審をお待ちしております。

詳しくはこちらをご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-controlsystem-2

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【2】「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」出展社募集のご案内

RCJでは、毎年11月に開催しております電子デバイスの信頼性及びEOS/ESD/EMCに
特化した「RCJ信頼性シンポジウム」に併設して、機器、資材、ソフトウェア等の
展示会「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」を開催しています。
この展示会では、信頼性技術者や生産・製造技術者、品質保証技術者等を対象に、
より進歩した静電気対策技術、信頼性評価技術、故障解析技術、信頼性向上対策の
紹介を目的としています。特に近年、各種電子デバイスが静電気の影響を受けやすく
なっており、静電気対策は必須事項となっております。これら重要な静電気対策や
解析・測定機器の展示会への来場者は、上記シンポジウムへの参加者、ESDコーディ
ネータなど静電気対策に深くかかわっている方が多く、効果的な宣伝が可能です。
また展示会場内においては、各出展社が自社の新技術・新製品を紹介するワークショップ
も開催しています。このワークショップは、静電気対策用品、材料・計測機器等を手掛け
る企業が、対策品選者のキーパーソンに効果的にPRできる絶好の機会となります。
現在出展社の募集を開始しており第1回目の出展委員会を7月上旬に行う予定です。
ぜひこの機会に出展のご検討をお願い申し上げます。

信頼性・ESD対策技術展示会のWebサイトはこちら:https://rcj.or.jp/exhibition
お問い合わせメールアドレス:info@rcj.or.jp

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【3】次回 ESD COORDINATOR資格認証再試験のご案内

RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験は、年に4回(2月、4月、8月、
10月)実施しております。次回の再試験は2024年8月2日(金)に実施します。

■RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験 ──────────────────

実施日:2023年8月2日(金) 14:00~16:00
受験資格:RCJ ESD COORDINATOR 資格認証セミナーの既受講者
    (受講後2年間有効)
場 所:(一財)日本電子部品信頼性センター 会議室
定 員:6名
申込締切:2024年7月29日(月)

詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/esdc-reexamination

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【4】次回静電気対策従事者向けエキスパートセミナーのご案内

RCJでは9月18日(水)~19日(木)に「静電気対策従事者向けエキスパートセミナー」を
開催いたします。
このセミナーは受講生と講師間の距離を縮め理解を深めることを目的に少人数制(定員8名)
で行います。
講習内容は静電気現象の基礎からESD管理アイテムの特性、評価(測定)、規格と管理など
多岐にわたりESDコーディネータに必要な知識と実技をしっかり身に付けていただく内容と
なっています。また受講終了後には終了証を発行いたします。
受講お申込み開始は、7月中旬を予定しております。

■開催概要
開催日:2024年9月18日(水)~19日(木)
講習会場:日本電子部品信頼性センター 会議室
定 員:8名(定員に満たなくても開催いたします)
受講費(消費税込):一般 66,000円   ESDコーディネータ及び賛助企業会員 52,800円

■講座内容(2日間集中講座)
 1日目 10:30~17:00 午前1講、午後3講
  ・静電気基礎理論講習と現象実演
  ・帯電電位測定理論講習と実技演習
  ・表面抵抗測定理論講習と実技演習  
  ・イオナイザ原理と評価方法の実技演習

 2日目 10:30~16:00 午前1講、午後2講
  ・静電気対策方法基礎と効果確認
  ・規格要求事項と日常管理
  ・Q&A及び自由討議

お問合せ先:info@rcj.or.jp

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【5】ESDコーディネータ登録情報更新のお願い

RCJ ESD COORDINATOR資格を取得後、ご所属、住所、メールアドレス等に変更が生じた
場合は、下記のフォームで事務局にご連絡くださいますようお願いいたします。
特にメールアドレス、社名が変更された場合に届出がないと、資格更新セミナー受講時期の
ご案内、ご請求書発行のご案内、メールマガジン等を確実にお届けすることができない可能性
があります。
また、資格を維持されない場合は、必ず辞退届のご提出をお願いいたします。辞退届のご提出を
もちまして正式な資格失効といたします。
お手数をおかけいたしますが、ご協力をお願いいたします。

ご変更はこちらからお願いします:https://rcj.or.jp/esdc-profilechange

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【6】静電気対策Q&A(58)

■EPAの構築についての質問─────────────────────

広い作業エリア内の一部にEPAを構築したいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。

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◆回答例◆

EPAの構築では、まず規格の要求事項を遵守する必要があります。規格ではグラウンド
システムの構築、EPAエリアの明確化、出入り口の警告表示、ESDSをEPA内外に持ち
込み、持ち出す時の保護包装、ESDSに対する電界・電位の規制、帯電物の持ち込み規制等
を規定しています。つまり地続きの作業エリア内にEPAを構築する際はこれら規定を遵守
することが必要となります。壁で囲ったEPAが構築できるのであれば規格に従ったEPAの
構築は比較的容易ですが、一般的には壁で囲うことが難しく、床にラインテープで区切り
をつけたり、バリアテープで囲うなどとなります。ラインテープで床に区切りを付けただけ
ではEPAに出入りする規制があいまいになり不完全なEPAになりかねません。しかもEPA外の
すぐわきにエアキャップなど大きな帯電物があるとその近くにあるEPA内のESDSは電界の
ストレスを受けることになります。このようにEPAの境界ではその周囲の環境にも注意が
必要です。広い作業エリアですと複数のEPAが必要になることがあります。この時、EPA
とEPAの間はESD管理区域外となり規定ではEPA外に持ち出す際の保護包装(シールド
バッグ等)が必要となります。工程内のある領域から次の領域へ移動させるだけでいち
いちシールドバッグに入れて運ぶのは大変な作業であり何かほかに方法が必要になります。
EPAのグラウンドシステムにおける基本理念が等電位接地であることを理由に運ぶ容器、
台車等に搭載したESDSが電位勾配にさらされないように、隙間なく導電性材料で囲って
運ぶのも一つの方法です。例えば通い箱のような容器であれば容器が導電性であることと
上面をふさぐ導電性の蓋をかぶせ内部に電界を入れないようにします。そして作業者は
EPAからEPAまでの間、蓋を開けない、といった規則で守ることです。
ただしこれには問題がないことを検証し、明確なルールを作るなど態勢づくりが欠かせません。
規格にはTailoringと言って静電気対策の規則を製造作業に合わせて一部を変更してもよい
という項目がありますが、この実践には変更しても問題ないことの検証と、管理ルールの
変更と管理マニュアルへの明記が条件です。EPAは形さえ構築すればよいというものでは
なく、いかにESDSをESDから保護できる環境を用意できるかです。
効率的で有効なEPA構築を目指してがんばってください。