RCJ通信

RCJ通信 第44号(2023年4月6日)

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 第44号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                 2023.4.6 発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を
発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表と
感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページの
トピックでお知らせいたしますのでご留意ください。
RCJ ESD COORDINATOR資格認証、資格更新セミナーでの新型コロナウイルス感染予防
対策につきましては、ホームページをご参照ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/oshirase/2651

▼今月のもくじ
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【1】静電気対策資材登録制度のご案内
【2】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー受講お申込み受付中です
【3】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー開催のお知らせ
【4】ESD COORDINATOR資格の有効期限、維持及び更新についてのご案内
【5】ESD対策に関連する規格の動向(40)
【6】静電気対策Q&A(44)
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【1】静電気対策資材登録制度のご案内

日本電子部品信頼性センター(RCJ)では、第三者公共機関と共同して測定データを
ウェブ上で公開する資材登録制度を行っています。公的機関での静電気対策用資材測
定結果が規格を満足する認証資材をRCJのホームページで公開することで、ESDコーディ
ネータは自らがESD管理アイテムの測定評価を行うことなく、公表されたアイテムを選択
するだけという制度です。
現在の登録状況は履物と衣服がほとんどですが、2019年より工具の評価もできるよう
になっています。工具は工程内で多用されるアイテムですので資材登録を行うことで
ESDコーディネータから推奨・選択される可能性が高くなります。最近はクライアント企業
からIEC 61340 5-1等で評価されたアイテムを使う要求が高まってきており、
資材登録をすることで製品アピールに大きく貢献いたします。登録されますとRCJの
ホームページ上に製品名や測定結果の表示、またカタログのページも作成されます。
ぜひ一度、自社製品の妥当性表現の一つとして資材登録制度をご検討くださいますよ
うお願い申し上げます。

資材登録リスト、申請フロー等につきましては詳しくはこちらをご覧ください。:

静電気資材登録

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【2】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー受講お申込み受付中です

「第44回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー」は、以下の日程で開催いたします。
  
■第44回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー ──────────────

開催日時:2023年5月16日(火)、17日(水)
会場:大田区産業プラザ 4階コンベンションホール(東京都大田区南蒲田1-20-20)
定員:150名
申込締切日:2023年5月9日

詳細・お申込みはこちら:https://rcj.or.jp/esdc-seminar

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【3】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー開催のお知らせ

ESD COORDINATOR、主任ESD COORDINATOR資格は、3年毎に更新することになってい
ます。資格更新セミナーは、ESD対策技術(規格改定を含め)のリフレッシュの機会を与える
ことを目的としています。 なお、対象者には、3月10日に案内状をメールでお送りしております。
今回は、資格有効期限が以下(1)~(3)の方で、資格を維持されるESDコーディネータ、
主任ESDコーディネータの方が対象です。

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(1)2022年12月31日
(2)2023年6月30日
(3)2023年12月31日
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ご自身の有効期限は、前回の更新時に発行された認証書(A4判の認証書で、資格登録
維持年会費を納入された後に毎年発行される認証カードとは異なります)をご確認ください。
有効期限切れの前後4回の更新セミナーの受講が可能です。

「第45回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー」は、YouTube LiveでWeb同時配信
いたします。受講者のみなさまに事前にお知らせしますYouTubeの専用URLにアクセスしていただ
くだけで受講いただけます。インターネット接続環境とYouTubeをご覧になれるパソコン等があれば、
特別な設定なく受講いただけます。開催日時および会場は以下の通りです。

第45回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーのご案内
日時:2023年5月15日(月) 10:00~16:30
会場:大田区産業プラザ 4階コンベンションホール(東京都大田区南蒲田1-20-20)
    及びYouTube Live配信によるWeb受講
申込み締切日:2023年5月8日(月)
 
詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/update-seminar

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【4】ESD COORDINATOR資格の有効期限、維持及び更新についてのご案内

資格有効期限、資格登録維持年会費につきましてお問い合わせをいただくことがあります
ので、改めて本資格の有効期限、維持及び更新につきましてご案内いたします。
ESD COORDINATOR資格の有効期限は初回登録日から3年とします。資格の更新
のためには、再度のセミナー受講が必要です。有効期限の半年前から半年後、1年間
の受講期間があり、計4回のどのセミナーを受けることも可能ですが、資格有効期限は
資格を取得した年から始まる3年の周期が繰り返されます。たとえば、2022年5月の
認証セミナーに合格した場合は、有効期限は2022年6月~2025年6月です。更新
セミナーは1日間を予定し、試験はありません。ただし、レポート提出の評価結果を以て
合格とします。不合格の場合は再提出が必要になります。これは、IEC61340シリーズ
規格の改定に伴う研修や知識のリフレッシュの機会が必要と考えるためです。
年度(4月から翌年3月まで)ごとに資格維持として、資格登録維持年会費(年会費)
をお支払いいただく必要があります。但し、初回登録年度は維持料は必要ありません。
また、1年ごとに認証カード(プラスチックのカード)を発行します。認証カードの有効
期限は 1年間(資格取得月~翌年の前月)とします(注:維持1年、更新3年)。
会費請求後1年を過ぎて年会費の納入が無い場合は、有効期限内でも資格は失効
対象となります。資格が不要になった方は直ちに資格辞退届のご提出をお願いいたします。
(注:会費年度(4月から翌年3月まで)と認証カードの有効期間(資格取得月
~翌年の前月)は異なります。但し、認証カード有効期限を7月以降の受講者は翌
年の12月31日、6月以前の受講者は翌年6月30日に統一します。)

詳しくはこちらをご覧ください:https://rcj.or.jp/esdc-page

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【5】ESD対策に関連する規格の動向(40)

今回は、ANSI/ESD STM11.13 For Protection of Electrostatic Discharge Susceptible Items-Two Point Resistance Measurement
について解説します。
この規格の目的はESD管理アイテム表面の2点間抵抗測定方法の提供です。またこの規格の
適用範囲は1.0×10^4Ω以上1.0×10^11Ω未満の材料の測定となっています。2項、3項は
他のシリーズと同様に引用規格と用語説明になっています。4項も他のシリーズと同様に人員の
安全に関する項目で安全要項に先行してこの規格を優先させることはできないとしています。
5項は総論として測定対象となるESD管理アイテムがどのようなものかと、それに対する2点間プ
ローブの必要性などが説明されています。6項からはそれぞれの測定装置を構成するパートについ
ての説明になっています。まず6.1項にはプローブの構造と構成材料が詳しく説明されています。
この測定用電極の構造は、小さな部分の表面抵抗を測定することを目的として、直径15mm程度
の細い絶縁材の円柱内に直径3.2mmのポゴピンによる電極2本が3.2mmの間隔を空けて取付け
られており、ポゴピンの先端が測定面になっています。電極面と被測定物の接触はポゴピンのばね
による押し圧で規定されています。このため多少高低差のある表面でも安定して測定できるように
なっています。また外形を構成する円柱の絶縁材はPTFEのような高抵抗材料が指定されています。
6.2項が測定サンプルを置く絶縁性支持台、6.3項が測定器本体、これは他の抵抗測定規格に
も出てくる表面抵抗計本体と同じです。6.4項は測定器本体と測定プローブを接続する電線の
仕様、6.5項には校正用の電極と標準抵抗器の構成が図で説明されていてこの項では校正ジグ
を使って定期的に確認することとしています。7項は測定サンプルの事前準備について、8項は
測定前の精度確認方法について述べられています。9項が測定手順で他の規格と同様に
1×10^6未満が10Vで、以上が100Vで測定するように指定されています。10項は結果報告書
に記載すべき項目が挙げられています。
最後に付属書A,BとありAは測定値に影響をおよぼす要素について記載されています。サンプルの
サイズ、測定圧力によるサンプルの変形、サンプルの変形、測定電極をサンプルに押し当てる角度
など6項目ほど測定値が変動する原因が挙げられています。付属書Bは改訂履歴となっています。
次回はANSI/ESD STM11.31-2018 For Evaluating the Performance of Electrostatic Discharge Shielding Materials- Bags
について解説します。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【6】静電気対策Q&A(44)

■表面抵抗計校正についての質問 ──────────────────────

規格が示す2点間抵抗測定用の5ポンド電極を使用して表面抵抗計を校正した際、校正時では
適正範囲に入っているのに作業表面を測定すると一桁程度高い値が出てしまいます。
想定される原因を教えてください。

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◆回答例◆

静電気対策で使用される表面抵抗測定システムでは、測定電極と測定対象が導電性材料である
ことによって電子部品等の抵抗測定をすることと大きく異なる特性があります。
電子部品の抵抗器のように端子のあるものはその部分に電気を流すように設計され、端子が金属で
あることから金属製の測定電極を接触させて電圧を印加すれば安定した電流値が得られ抵抗値を
知ることができます。
これに対し、導電性材料の表面抵抗測定ではその導電性材料の表面に端子はなく表面そのものを
端子と見立てて抵抗を測定します。測定電極は測定対象と接触しやすいように測定表面に比較的
柔らかい材料が貼り付けられています。この接触している表面積が電流を流す経路となるため、一部
分の接触と全面の接触では流れる電流値に差が生じます。つまり接触面積の大きい小さいの差が
電流量を左右するため表面抵抗測定用電極は厳格に表面の柔らかさ、押し付ける圧力としての
重さ、面積が決められています。
そこで5ポンド電極を使用した校正用のシステムですが、5ポンド電極を置く電極は5ポンド電極より
少し大きな金属板の電極を使用します。5ポンド電極の表面と下に敷く金属板電極はともに抵抗
が低く一部のみの接触であっても全面の接触であってもほとんど電流値は変わりません。これに対し
導電性材料と5ポンド電極の接触が悪くなると電極の全面積を流れるべき電流は一部しか流れず
表面抵抗計は高い値を示します。これが校正時と実際の測定で差が出る原因です。5ポンド電極
は長く使用することで電極面の中心部や周囲等一部がだんだん摩耗することがあり測定対象の表
面と完全に接触しなくなってきます。
校正システムでは接触面積の差は測定値に影響をおよぼしませんが、肝心な導電性材料の表面
抵抗を測定すると高い値が表示されてしまうことになります。特に静電気拡散性材料のように抵抗
値が高いほどその差は大きく出てしまうことになります。また5ポンド電極の表面が平らであっても
測定時に異物を挟み込んで測定すると同様の結果になります。この校正と実測の差を少しでもなくす
ように同心円電極生校正ジグは多くの抵抗器を使用し、接触面の差異が検出されるように工夫さ
れています。床や作業表面等を測定する際は上記のことを念頭に測定電極と測定対象の接触面
がしっかり接触するように注意して測定してください。