RCJ通信

RCJ通信 第41号(2023年1月12日)

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 第41号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                 2023.1.12 発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動
を発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表と
感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページの
トピックでお知らせいたしますのでご留意ください。
RCJ ESD COORDINATOR資格認証、資格更新セミナーでの新型コロナウイルス感染予防
対策につきましては、ホームページをご参照ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/oshirase/2651

▼今月のもくじ
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【1】2023年 年頭のご挨拶
【2】「2022 第32回 RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」展示ブースインタビュー動画公開のご案内
【3】ESD管理システムの監査方法解説セミナーのお申込み受付中です
【4】第44回(特別回)RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーのお申込み受付中です
【5】ESD COORDINATOR資格認証カード発送完了のお知らせ
【6】ESD対策に関連する規格の動向(37)
【7】静電気対策Q&A(41)
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【1】2023年 年頭のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
昨年中は関係各位のみなさまには大変お世話になり誠にありがたく厚くお礼申し上げます。
昨年もコロナ禍に翻弄され活動自粛の一年となってしまいましたが、いよいよ新型コロナ
感染対策の緩和が期待できる状況になり、本来の活動を取り戻せる兆しが見えてまいりま
した。
今年はRCJ本来の活動主旨である信頼性技術に加え、この3年間自粛を余儀なくされた
ESDコーディネータ大会、出張教育訓練静電気対策セミナー、エキスパートセミナー、ESD
管理システム第三者監査認証業務などの活動を通じて、日本の静電気対策レベルの向上と
ESDコーディネータの資質向上に注力していく所存です。
RCJは今年も規格整備、委員会活動、シンポジウム、ESDコーディネータ支援等々に全力を
尽くしてまいります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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【2】「2022 第32回 RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」展示ブースインタビュー動画公開のご案内

2022年11月26日、27日に大田区産業プラザ小展示ホールにて行いましたRCJ信頼性・
ESD対策技術展示会では、展示会にご来場いただけなかった方や、もう一度展示されていた
製品で確認したい、といった方に展示会場及び各展示ブースを紹介する動画を撮影いたし
ました。各出展社のご担当者に会社概要と展示品についてご説明いただいた動画を5分
程度にまとめてあります。動画をご視聴いただくにはRCJのホームページ「信頼性・シンポ
ジウム」のプルダウンタブから「展示会」をご選択いただき出展社紹介の欄にあります
「展示ブース紹介」に記載しているURLをクリックしてください。YouTubeに移行してご視聴
いただけます。各ブース紹介動画のご視聴をお待ちしております。

■各社の展示ブース紹介動画のURL
DESCO JAPAN株式会社:https://youtu.be/hu-n9TypklM  
いけうち株式会社   :https://youtu.be/Nds0pwe0Ht8  
株式会社エイチ・エー・エー光学:https://youtu.be/cyNsf0K6BZk
シシド静電気株式会社 :https://youtu.be/KQBKi6XxNis  
テク・トライアングル   :https://youtu.be/TwGE01y3PJQ   
株式会社ブルービジョン :https://youtu.be/8EoaJA64088   
ミドリ安全株式会社  :https://youtu.be/76ocudE8rMI   
阪和電子工業株式会社:https://youtu.be/RYifdcC06IE   
春日電機株式会社  :https://youtu.be/ebdza7afCuE   
辰野株式会社    :https://youtu.be/NEaB8TpuLu8   
東京電子交易株式会社:https://youtu.be/i_QgZ5WqNzc

展示会場全体をご紹介した動画もあわせてご覧ください。
■展示会場全体:https://youtu.be/vIzzX8PGe-o 

展示会についてはRCJホームページ:https://rcj.or.jp/exhibition
をご参照ください。

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【3】ESD管理システムの監査方法解説セミナーのお申込み受付中です

ESD対策の工程監査方法を解説するセミナーを2月3日に開催いたします。
RCJでは、RCJ ESD管理システム認証と国際認証であるIECQ ESDプロセス認証の認証業務を行っ
ています。今回のセミナーではこの監査を受審される方々に受審の観点や態勢の作り方などに
ついて解説します。
また第三者監査についてだけでなく内部監査や二者間監査等、日常の業務で行う監査方法に
ついても解説いたします。妥当性の高い監査を行うことによって、対顧客や協力企業との共通
認識を図り、スムーズな業務関係の構築にお役立てください。

■ESD管理システムの監査方法解説セミナー ──────────────────

開催予定日:2023年2月3日(金) 13:00~16:30
会 場  :大田区産業プラザ6階C会議室(今回は、Web同時配信はありません)
費 用  :ESDコーディネータ 7,700円/一人(税込)
      一般 11,000円/一人(税込)
定 員  :30名
      
詳細はこちらから:https://rcj.or.jp/oshirase/4012
お申込みフォームはこちら:https://rcj.or.jp/auditing-seminar-application
ESD管理システム認証、ESDプロセス認証についてはRCJホームページ
https://rcj.or.jp/esd-controlsystem-2 をご参照ください。
お問い合わせ先:info@rcj.or.jp

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【4】第44回(特別回)RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーのお申込み受付中です

2022年度でコロナ禍対応の受講時期の延期対応を終了いたします。
2022年10月25日に開催しました第43回が今年度の資格更新セミナーの最終回でしたが、資格
有効期限を過ぎた方でこの回の受講を逃してしまった方への救済対応として、第44回(特別回)
RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーを3月10日に開催いたします。
この回でもWeb配信を行いますので有効期限が過ぎてしまっている方は、現地、Web受講いずれ
かの方法で受講のご検討をお願いいたします。
受講対象の方は、すでに有効期限を過ぎてしまっている方から有効期限2023年6月までの方で
す。資格更新はWebによる受講者もセミナー受講後、課題レポートをご提出いただくことで
更新とさせていただきます。ただし、期限切れ後の受講の場合は、期限切れ後、更新セミナー
受講前の期間は認証書が発行されません。
ご自身の資格有効期限は、認証カードではなく認証書(A4サイズの紙の証書)に記載の期日で
す。認証書をご確認ください。開催日時および会場は以下の通りです。

■第44回(特別回)RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー ──────────────

日時:2023年3月10日(金) 10:00~16:30
会場:大田区産業プラザ 4階コンベンションホール(梅)
   及びYouTube Live配信によるWeb受講
定員:現地50名  Web100名
申込み締切日:2023年3月3日(金)
※コロナ感染者数の状況によって定員数が変更になる可能性があります。

詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/update-seminar

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【5】ESD COORDINATOR資格認証カード発送完了のお知らせ

昨年6月に資格期間2022年7月1日~2023年6月30日のESD COORDINATOR資格
認証カードを、12月に資格期間2022年1月1日~2023年12月31日の資格認証カードを
ESDコーディネータのみなさまに発送いたしました。
お手元に認証カードが届いていない方は、登録維持年会費の納入がお済みでない方、認証
カードのご送付を不要と申告いただいた方です。カードが届いていない方で資格維持を希望さ
れる方は、お早めに年会費の納入をお願いいたします。
近年、各種産業分野で、静電気対策管理の重要性が認識され、静電気対策管理に習熟
している技術者に対する価値もますます高まっております。せっかく取得された資格ですので、
放棄してしまうことのないよう、ESD COORDINATOR資格の維持をご検討くださいますよう
お願い申し上げます。
年会費を未納入で資格維持を希望されない方は、大変お手数ですがESDコーディネータ
登録情報の変更ページから、資格辞退届をダウンロードの上、必要事項をご記入いただき、
必ずご提出くださいますようお願いいたします。資格辞退届のご提出をもちまして、正式な資格
辞退とさせていただきます。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/esdc-page
登録情報の変更について:https://rcj.or.jp/esdc-profilechange
請求書についてのお問い合わせ:info@rcj.or.jp

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【6】ESD対策に関連する規格の動向(37)

今回は、ANSI/ESD SP10.1 For the Protection of Electrostatic Discharge Susceptible Items- Automated Handling Equipment (AHE)について解説します。
この規格はAHE(AHEとは電子部品や機器の製造、組立、検査などを自動で行う装置)における
静電気対策の評価方法について規定しています。ここでは一般的な静電気対策用品の測定と
違い接触型電位計など少し変わった測定器も登場しています。
第1項はこの規格の目的と適用範囲、応用で構成されていて、まず目的はAHEの静電気対策
環境での接地システムの検証や電子デバイスの帯電を測定する評価手順と報告書の作成手順
について述べています。適用範囲では装置内の各部分の接地抵抗測定と帯電電荷量の測定に
ついてで、電荷量を測定する代わりに電位を測定するとしています。電位測定は装置内の各帯電
部分と電子デバイスとしています。ただしここでは電荷量測定機器については触れないとしてい
ます。
応用として、この規格を装置製造者と使用者両方で参照し、相互のコンセンサスを図ることに使
えるとしています。第2項が参考規格について、第3項が用語の説明、第4項が安全要求につ
いてです。安全要求では静電気対策的な事項以外に測定時は確実に電源を切る等自動機ならでは
の注意事項がいくつも記載されています。
第5項が使用する測定器についてで、静電気対策で使用する一般的な表面抵抗計以外に、装置の
各パートの接地抵抗を測定するマルチテスターや電界測定による表面電位計、高入力インピーダ
ンスの接触静電電位計、小さな測定対象を測定するための表面電位計などを定義しています。
この表面電位計は測定結果を記録するデータ出力や高速応答性なども定義されていて装置内を
高速で移動する電子デバイスの帯電を正確に測定し記録することが要求されています。
第6項は測定手順でまず抵抗測定では、測定前にAHEを装置メーカの指示に従って清掃するこ
とと、AHEとすべての測定プローブを24時間以上使用環境に曝すこととしています。第7項は帯電
量測定で測定対象の電子デバイスや基板にアルミフォイル等のシートを貼り付け、電子デバイス
自体の帯電や、誘導電位などを測定する方法を記述しています。いずれも貼り付けたアルミフォ
イルに500Vのリファレンス電圧を印加し測定方法が正確であるかを検証するとしています。AHE内
の各所を測定してAHEの静電気環境を評価します。
付属書AではAHEの設計や評価方法の指針について、付属書Bは測定器の選定指針、付属書CはAHE
内の代表的な測定箇所、付属書D,Eはレポートフォーマット、F,Gが参考文献と改訂履歴となって
います。
次回はANSI/ESD STM11.11-2022 ESD Association Standard Test Method for Protection of Electrostatic Discharge Susceptible Items – Surface Resistance Measurement of Planar Materials
について解説します。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【7】静電気対策Q&A(41)

■静電気対策用材料の抵抗測定についての質問 ──────────────────────

静電気拡散性材料で作られた静電気管理アイテム(マットやパーツボックス等)を評価するとき
なぜ一般のテスターではなく専用の表面抵抗計を使用しないといけないのですか。

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◆回答例◆

作業表面用マットや床、導電性パーツボックスなど静電気対策用材料の抵抗を評価するには
いくつかの機能が必要になります。この機能が必要な理由は導電性製品の特性が大きく関わっ
ています。まず測定対象である静電気対策用導電性材料と一般の電気回路や電子部品の違いを
知る必要があります。一般の電子部品、例えば抵抗器はその両端に電気を流すための金属製
端子がありその端子に測定電極が触れていさえすればその抵抗器の抵抗値を測定することが
できます。しかし、導電性パーツボックスや、作業表面の2点間抵抗測定ではそこに測定用
端子はありません。この端子の役割をするのが表面抵抗測定用電極です。端子の無い表面の
抵抗を測定するには安定した測定面が必要になります。表面抵抗計の測定電極が、重く、
広い面積で、しかも柔らかい面を持っているのはそのためで、重さが接触の圧力を、面積が
十分に安定した通電経路を、そして柔らかさがいろいろな表面に対する安定した接触面を得る
ためのものとなります。
次に導電性材料の特性です。導電性材料は抵抗器のような電子部品と違い測定電圧によって
抵抗値が変化します。電子部品の抵抗器が電圧によって変化しては回路を構成する部品として
役に立ちませんので測定電圧による抵抗値の変化はほとんどありませんが、導電性材料は
絶縁物に微量の導電性材料(カーボンや金属粉など)を混ぜて導電特性を持たせています
ので、電気の流れ方が電子部品の抵抗器ほど安定していません。このため低い電圧では流れ
にくかった電気が高い電圧を印加することで流れやすくなり、抵抗値が下がったりします。
それであれば測定電圧を決めてしまえばよいのですが、静電気対策用品の抵抗値の幅は非常に
広く、4乗Ωのオーダーから12乗Ωのオーダーまで測定ができなければならず、12乗Ωの
オーダーを測定するときは4乗Ω時の10億分の1の電流しか流れないため、高い抵抗値を測定
するときは測定電圧を高くして測定しなくてはならなくなります。
このことから、マルチメータのような一般のテスターで導電性材料の測定ができない訳ではあ
りませんが、静電気対策用材料の抵抗評価に向かない理由は、一般のテスターの測定対象は、
電子部品の抵抗値のような低いレンジが測定対象であること、テスターの測定電極は電気回
路のピンポイントが測定できる棒端子のような細く硬い電極でできていること、測定電圧が
1つで4~12乗Ωという高い抵抗値の8桁の違いを測定するような測定レンジが対象である
ためということになります。(中には高抵抗を測定するための電圧を持った測定器もあります)
規格が測定電極の面積や重さ、表面硬度などを規定し、6乗Ω未満は10Vで測定し、6乗Ω
以上は100Vで測定する理由はここにあります。