RCJ通信

RCJ通信 第40号(2022年12月1日)

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 第40号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                 2022.12.1 発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動
を発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表と
感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページの
トピックでお知らせいたしますのでご留意ください。
RCJ ESD COORDINATOR資格認証、資格更新セミナーでの新型コロナウイルス感染予防
対策につきましては、ホームページをご参照ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/oshirase/2651

▼今月のもくじ
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【1】第44回(特別回)RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー開催のご案内
【2】「ESD管理システムの監査方法解説セミナー」開催のご案内
【3】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験のご案内
【4】IECとRCJの活動
【5】Web請求書発行システム「BtoBプラットフォーム」ID登録情報ご確認のお願い
【6】ESD対策に関する規格の動向(36)
【7】静電気対策Q&A(40)
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【1】第44回(特別回)RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー開催のご案内

今年度でコロナ禍対応の受講時期の延期対応を終了いたします。
今年の10月25日が今年度の資格更新セミナー最終回でしたが、資格有効期限を過ぎた
方でこの回の受講を逃してしまった方への救済対応として、第44回(特別回)RCJ ESD
COORDINATOR資格更新セミナーを3月10日に開催いたします。
この回でもWeb配信を行いますので有効期限が過ぎてしまっている方は、現地、Web受講
いずれかの方法で受講のご検討をお願いいたします。
受講対象の方は、すでに有効期限を過ぎてしまっている方から有効期限2023年6月まで
の方です。
資格更新はWebによる受講者もセミナー受講後、課題レポートをご提出いただくことで更新
とさせていただきます。ただし、期限切れ後の受講の場合は、期限切れ後、更新セミナー受
講前の期間は認証書が発行されません。
ご自身の資格有効期限は、認証カードではなく認証書(A4サイズの紙の証書)に記載
の期日です。認証書をご確認ください。
開催日時および会場は以下の通りです。

■第44回(特別回)RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー ──────────────

日時:2023年3月10日(金) 10:00~16:30
会場:大田区産業プラザ 4階コンベンションホール(梅)
   及びYouTube Live配信によるWeb受講
定員:現地50名  Web100名
※コロナ感染者数の状況によって定員数が変更になる可能性があります。

詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/update-seminar

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【2】「ESD管理システムの監査方法解説セミナー」開催のご案内

ESD対策の工程監査方法を解説するセミナーを2023年2月3日に開催いたします。
RCJでは、RCJ ESD管理システム認証と国際認証であるIECQ ESDプロセス認証の認証業
務を行っています。今回のセミナーではこの監査を受審される方々に受審の観点や態勢の
作り方などについて解説します。
また第三者監査についてだけでなく内部監査や二者間監査等、日常の業務で行う監査
方法についても解説いたします。妥当性の高い監査を行うことによって、対顧客や協力企業
との共通認識を図り、スムーズな業務関係の構築にお役立てください。

■ESD管理システムの監査方法解説セミナー ──────────────────

開催予定日:2023年2月3日(金) 13:00~16:30
会 場  :大田区産業プラザ6階C会議室
費 用  :ESDコーディネータ 7,700円/一人(税込)
      一般 11,000円/一人(税込)
定 員  :30名
      
詳細はこちらから:https://rcj.or.jp/oshirase/4012
お申込みフォームはこちら:https://rcj.or.jp/auditing-seminar-application
ESD管理システム認証、ESDプロセス認証についてはRCJホームページ
https://rcj.or.jp/esd-controlsystem-2 をご参照ください。
お問い合わせ先:info@rcj.or.jp

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【3】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験のご案内

RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験は、年に4回(2月、4月、8月、10月)
実施しておりますが、今年度はコロナ感染拡大のため、実施が不定期になっております。
次回の再試験は2023年2月3日(金)に実施します。

■RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験 ──────────────────

実施日:2023年2月3日(金) 14:00~16:00
受験資格:RCJ ESD COORDINATOR 資格認証セミナーの既受講者(受講後2年間
     有効)
場 所:(一財)日本電子部品信頼性センター 会議室
定 員:6名

詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/esdc-reexamination

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【4】IECとRCJの活動

皆さんもご存知の通りIEC(International Electrotechnical Commission)はISOと双璧
を成す国際的な標準化団体です。IECの扱っている分野は、あらゆる電気・電子工学に関す
る技術、規格、測定方法などの標準化です。
IECはそれぞれの分野を専門とする専門委員会TC(Technical committee)で構成されて
いて、皆さんの関係するTCはTC101 Electrostatic(静電気)です。この静電気の技術委員
会の中も細かく作業部会に分かれていて、測定方法や静電気対策管理、対策用品の基準
などをそれぞれの部会で審議し、決定しています。これがIEC 61340シリーズの規格文書として
提供されます。
これらの審議は世界中のTC101委員会の参加国が意見を出し合い行われていきますが、
RCJは日本産業標準調査会(JISC)により承認されたTC101委員会の日本の国内審議
団体として、国内委員会を運営し国際会議からの提案が日本に不利にならないように、また
日本の要望が採用されるように委員会で討議し、TC101へ意見を反映させる重要な役割を
担っている団体です。日頃はIECから提供される討議案件をWeb上で討議していますが、年に
一度、世界中から委員が集まる国際会議が各国の持ち回りで開かれています。2018年は
日本で、2019年はニューヨークで開催されました。来年2023年はパリで開催される予定です。
ちなみにRCJはTC101が設立されたときからメンバーとして参加しています。

関連ページはこちら:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【5】Web請求書発行システム「BtoBプラットフォーム」ID登録情報ご確認のお願い

毎年4月に発行しておりますESDコーディネータ資格登録維持年会費のご請求書を、2021
年度より、「BtoBプラットフォーム請求書」にIDご登録いただきPDFでお受取りいただいており
ます。
すでにIDをご登録いただいているみなさまの中で、IDご登録後にメールアドレスにご変更があ
りましたら、至急、下記フォームよりご連絡いただきたくお願いいたします。新しいメールアドレス
で再登録いただくための招待メールをお送りいたします。

BtoBプラットフォームにつきましてご不明な点がございましたら
info@rcj.or.jp までお問い合わせください。

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【6】ESD対策に関連する規格の動向(36)

今回は、ANSI/ESD STM 7.1 2020 For the Protection of Electrostatic Discharge
Susceptible Items-Symbolsについて解説いたします。
ANSIに限らずIEC61340 5-1やRCJS 5-1など静電気対策の規格でもESDS保護用包装材
など静電気対策用品であることを表示するためのシンボルやEPAの出入口に掲示する警告
マークなど表示について提唱しています。本来でしたら図柄を記載したいところですが、図は掲
載できないので文書でご説明します。
この規格ではこれら記号の意味を標準化し、明確にすることを目的としています。そしてこの
規格書ではESD敏感性、ESD保護、グラウンドのコモンポイントの3種のシンボルを解説してい
ます。2項目は引用規格、3項目では、シンボルの使用について、米国ESD協会のWebサイ
トから無料でダウンロードできる、としています。4項目からシンボルの説明で、まずはESD敏感
性マークについてです。ESD敏感性を表すシンボルは三角形の中の手にスラッシュが入っている
シンボルでアイテムが静電気に弱いことを表しています。このマークはESDS等のアイテムに使用
するものであって、EPA内で使用するESD管理用アイテムなどには使用してはいけない、として
います。またこのシンボルの最小サイズを12mmx12mmより小さくしないようにとしています。
ESDSの敏感性を表示する場合もあり、手の空白部分にレベルが明示されます。色は黒地に
黄色を推奨しています。5項はESD保護シンボルで、ESD管理用アイテムなどに使用し、
ESDS等のアイテムには使用してはいけないとしています。此方のシンボルは三角の黒地の中に
手の絵があり、この図にスラッシュはなく、それを底部の無い円で囲ったデザインになっています。
こちらも最小サイズは12mmx12mmで製品のキャラクター(性能)を表すために、名称、
製造年月日、試験方法などをシンボルの右横に明示します。6項目が共通接地ポイントの
シンボルについてで、共通接地ポイントについてはANSI/ESD S6.1で定義されていて、剥き出し
の接地端子や接地用バスバー等に表示するとしています。
デザインは円の中に同心円リングが記載されていて、外円の内側に「ESD COMMON POINT
GROUND」を太字で記載するように定義されています。こちらも最小サイズは12mmで色の指定
はなく、赤は危険を感じさせるので使わないとしています。最後に付属書として関係書籍と改
訂履歴が記載されています。
次回はANSI/ESD SP10.1 Automated Handling Equipment(AHE)について解説します。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【7】静電気対策Q&A(40)

■純水の帯電についての質問 ────────────────────────

洗浄に使用する純水の帯電について教えてください。

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◆回答例◆

半導体洗浄等で使用される超純水は水の中に含まれる不純物を取り除いた極めて純度の
高い「水」です。その比抵抗は25℃の時に18.24MΩと高い抵抗値を示すため、多くの場合、
絶縁物とみられています。しかし静電気対策の世界では、20MΩは静電気対策管理値の
範囲内であり、帯電しても接地経路など電荷の漏洩先があれば帯電を防ぐことが可能です。
ところがシリコンウエハの洗浄工程等では超純水が帯電しESDトラブルを発生します。例えば
接地されたステンレスパイプや金属ノズルからであっても、そこから噴出された超純水は数kVも
帯電していることがあります。接地された金属のパイプやノズルとで摩擦帯電した超純水は、
帯電した状態のまま噴出されてしまい空中に放出されることになります。しかし接地された金
属容器などにこの帯電した超純水が投入されると、ほぼ瞬間的に帯電は消えてしまい静電
気発生が無かったかのように見えてしまいます。このことから超純水の帯電は静電気の発生量
に関係する流速を下げることや、純水そのものの抵抗値を下げることで抑制します。作業工程
でよく使われる方法として、超純水に炭酸ガス等を添加して抵抗値を下げる方法があります。
その電気抵抗が18MΩのオーダーから下がるにつれて流動帯電電位も下がっていきます。
経験値ですが、超純水によるスピン洗浄機で純粋の比抵抗が数MΩのときは1~2kVほどの
帯電電圧が、流速を下げ、炭酸ガスの添加を徐々に増やしていったところ、比抵抗が1MΩか
ら低くなった時点から帯電電圧が急速に下がり始め、0.1MΩになったところで帯電電圧はほぼ
0Vになりました。流速など他の条件もあるので一概に0.1MΩにすれば帯電がなくなるとは言え
ませんがこの抵抗値は一つの目安になると思います。