RCJ通信

RCJ通信 第26号(2021年10月7日)

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 第26号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                2021.10.7 発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、RCJが開催するイベント情報をはじめ、
規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表と
感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページの
トピックでお知らせいたしますのでご留意ください。
RCJ ESD COORDINATOR資格認証、資格更新セミナーでの新型コロナウイルス感染予防
対策につきましては、ホームページをご参照ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/oshirase/2651

▼今月のもくじ
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【1】ESDコーディネータ資格認証・更新セミナー価格改定のお願い
【2】「第31回RCJ信頼性シンポジウム」参加者募集の最終ご案内
【3】「第31回信頼性・ESD対策技術展示会」の最終ご案内
【4】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー開催のお知らせ
【5】速報:「出張教育訓練 静電気対策教育プログラム」のご案内
【6】ESD対策に関連する規格の動向(22)
【7】静電気対策Q&A(26)
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【1】ESDコーディネータ資格認証・更新セミナー価格改定のお願い

平素はESDコーディネータの活動及び運営にご支援とご協力を賜り、誠にありがたく
厚く御礼申し上げます。
日本電子部品信頼性センターではESDコーディネータの資質向上を目指し、講習内容
の充実化と、講習を受けていただきやすくするために開催回数の追加やWeb配信など
改善を行っております。これまで様々な費用が増加する中、受講価格の改定を控えて
まいりましたが、高額の費用増加をコスト削減努力だけで吸収することが非常に困難
な状況となりました。ESDコーディネータの皆様や、これから資格取得をご検討いた
だいている皆様には大変心苦しいお願いではございますが、2022年度より受講費を
以下のように変更させていただきたくお願い申し上げます。

■ESDコーディネータ資格認証セミナー受講費(税込み)
 非会員:93,500円
 RCJ賛助企業会員:71,500円

■ESDコーディネータ資格更新セミナー受講費(税込み)
 非会員:38,500円
 RCJ賛助企業会員:30,250円

なお年会費については据え置きとさせていただきます。
今回の価格改定に伴い以下の講習項目と付属資料の追加を予定しております。

・技術報告書「RCJS TR5-4 適合性認証」(一般販売価格:8,000円)

今後も講習内容の充実化と経費節減に努力を重ねてまいりますので、何卒このたび
の価格改定にご理解を賜りご了承くださいますようお願い申し上げます。

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【2】「第31回RCJ信頼性シンポジウム」参加者募集の最終ご案内

RCJ信頼性シンポジウムは、電子部品、電子デバイス、電子機器等の設計・開発
技術者、信頼性技術者、生産技術者を対象に、信頼性およびESDという共通のテーマ
で論文発表・討論し合い、より進歩した信頼性向上技術、ESD障害対策技術等の
分野での発展に寄与することを狙いとしています。
コロナ禍の中、会場にお越しいただくことが難しい方も多くいらっしゃることと
思います。そこで、31回目の今年度は、Web上でのLive配信も予定しております。

■第31回RCJ信頼性シンポジウム ──────────────────

開催日時:2021年10月21日(木)~10月22日(金)
場所:日本教育会館 8階 第一会議室(https://www.jec.or.jp/)

お申し込み・詳細はこちら:https://rcj.or.jp/symposium

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【3】「第31回信頼性・ESD対策技術展示会」の最終ご案内

信頼性・ESD対策技術展示会は、静電気の影響を受けやすい電子デバイス・部品、
電子機器などを扱う信頼性技術者、設計技術者、品質技術者の方々を対象に、より
進歩した静電気障害対策技術、静電気測定技術、故障解析技術を扱う専門の展示会
です。ご来場時の入場登録のみで展示会、ワークショップとも自由にご参加いただ
くことができます。

■第31回信頼性・ESD対策技術展示会 ─────────

開催日時:2021年10月21日(木)~10月22日(金)
会場: 日本教育会館 8階 第二会議室(https://www.jec.or.jp/)
   (第31回RCJ信頼性シンポジウムと同じフロアで開催)

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/exhibition

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【4】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー開催のお知らせ

年2回実施される資格認証セミナーの次回開催日時をお知らせいたします。
「第40回 RCJ ESDコーディネータ資格認証セミナー」は、以下の日程で開催する
予定です。
  
■第40回RCJ ESD COORDINATOR資格認証セミナー ─────────

開催日時:2021年11月1日(月)、2日(火)
会場:日本教育会館(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)

詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/esdc-seminar

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【5】速報:「出張教育訓練 静電気対策教育プログラム」のご案内

日本電子部品信頼性センターでは、ESDコーディネータが静電気対策を維持管理する
条件として重要な、社内教育訓練をRCJの「出張教育訓練 静電気対策教育プログラ
ム」としてご提供を開始いたします。講習内容は受講対象者のレベルに合わせて入門
編、初級編、中級編の3段階のプログラムをご用意いたしました。講習内容は静電気
現象を目で見て理解できるように機器を持込み、実演を含めた分かりやすい講習内容
となっています。
講習時間は受講者レベルによって異なり、1.5~3時間程度です。新しく製造現場に
就かれる方やEPAに出入りする業者の方、工程のESD対策管理者の方まで幅広く受講
していただくことができ、受講を終了されると受講者全員に受講終了証を発行いた
します。コロナ禍収束状況によりますが、2022年度からの開始を予定しています。
セミナーの詳細や講習時間、費用につきましては、下記ホームページURLをご参照
ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/esd-education-program 

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【6】ESD対策に関連する規格の動向(22)

■IEC TC101 ElectrostaticとRCJの活動
今回は規格の説明を少し離れて日本電子部品信頼性センター(RCJ)とIECの関係に
ついてご説明します。
RCJでは、IECが発行する静電気対策関連の国際規格を日本国内で活用できるように、
和訳、修正、改定、普及等の活動を行っています。IECではIEC61340シリーズ1~6ま
での規格に対し、妥当性のある規格を維持するためにそれぞれの規格に有効期限を
定め、期限までに各国へ改訂案を募り、絶えずバージョンアップを行っています。
IEC TC101の委員会の中は改訂のための作業グループやその主査が決められていて、
それぞれの主査が責任をもって改訂業務を進めています。検討文書には新規提案や
改訂がありそれぞれ参加国に開示されます。
まず提案文書が提示されるとIECは参加各国に意見を求めます。世界のIEC加盟国には
Pメンバー国とOメンバー国がありPメンバー国だけが投票権を持ちます。もちろん日本
はPメンバーでIECに多くのDelegate(代表者)が登録されています。これらの改訂作業
が始まると各国はIECから提供されているコメントシートに国内で意見をまとめて
TC101に提案します。IECは寄せられたコメントに採用・不採用等の意見を載せてコメ
ントを返します。各国の意見がまとまるまでこのようなやり取りが繰り返され、規格
書が作られて行きます。
これら各国の改訂案提出作業は各国内の審議団体が行いますが、日本におけるTC101
の審議団体がRCJです。RCJは規格審議グループの主査を選定し、主査は国内の委員と
打ち合わせ、コメントを作成しRCJに提出します。グループ内で討議が必要な場合は
国内委員会を開いて提案内容を決定します。IECは何度か修正が繰り返されて各国
からのコメントが反映された規格文書案が最終段階になると、投票を要求します。
各国の賛成多数によって審議文書が規格化されます。また多くの審議案が年に一度
各国の持ち回りで開催される国際会議で決定されます。ちなみにRCJは2018年に国際
会議を東京で開催しています。このようにRCJは国際規格成立において日本が不利に
ならないよう活動し、またIECに対しては深い友好関係を保つように活動しています。
これら審議中の規格文書について内容を見ることはできませんが、どのような文書が
審議されているかを、IEC TC101のサイト内のDocumentのタブから、確認することが
できます。ご興味のある方は一度IEC TC101のサイトを訪ねてみてください。
URL:https://www.iec.ch/homepage から左上のAdvanced searchをクリックし
CommitteeのプルダウンからTC101を選択するとTC101のサイトにアクセスできます。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【7】静電気対策Q&A(26)

■湿度についての質問 ──────────────────────────

静電気対策で湿度を保つためにはどのようにしたらよいでしょうか。

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◆回答例◆

加湿による静電気対策はその効果の範囲と方法をよく理解して利用すれば効果的な
対策方法と言えます。しかし、その原理を理解せずに加湿器だけを用意しても効果的
な対策にはつながりません。まず湿度の単位ですが、一般的には「%」として表しま
す。%はgやcmのような絶対値を表す単位ではなくただの割合です。元となる入れ物
の大きさ、つまり空気が含むことのできる水分量の割合を表しているにすぎません。
空気が取り込める水分量は気温によって大きく異なります。暖かい空気には多くの水
分を含むことができ、低い気温はたくさんの水分を含むことができません。つまり
0℃の時の60%と20℃の時の60%では空気中に含まれる水分量が全く違うということ
です。
加湿による効果は、帯電物やその周囲のものの表面抵抗値が水分によって下がり電荷
の漏洩経路が形成されることによります。物質表面に水分が吸着するには、空気中の
水分量と物質の温度が関係します。水分を多く含んだ気温の中に気温よりも低い温度
の物質があると表面の水分量は多くなります。しかし水分量の少ない低い気温の中に
気温よりも高い温度のものがあると、水分量は少ないままで表面抵抗は下がらず電荷
が減衰しません。つまり加湿による静電気対策は、気温、湿度、物の温度、吸湿性を
考慮して初めて役に立つ、ということになります。またこの湿気は簡単には部屋全体
に混ざりません。加湿器を作動させると、その周囲の湿度は高くなりますが、加湿器
から少し離れた場所の湿度はさほど高くなりません。例えですが、水飴にインクを垂
らしてもその部分しか色が付かないのと一緒です。よく練らないと均一な色にならな
いのと同じように空気中の水分もよく攪拌されないと部屋全体に効果をもたらすこと
ができません。以前、製造工程の湿度をチェックしたときに、空調用のエアパッケージ
の空気吸い込み口に加湿器を置いて部屋全体を加湿しようとしていた工程がありまし
たが、空調機の上の天井は染みができるほど湿度が上がっていたのにその部屋の反対
側は低湿度のままという状況がありました。加湿対策には気温、湿度、物の温度、物
の水分吸着性と空気循環、有効な除電時間の検討など全体を統合するシステムの構築
が不可欠です。