RCJ通信

RCJ通信 第9号(2020年5月7日)

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 第9号

 より良い静電気対策管理のための
 RCJ通信
               2020.5.7 発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、RCJが開催するイベント情報をはじめ、
規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表
と感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページ
のトピックでお知らせいたしますのでご留意ください。

▼今月のもくじ
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【1】RCJ情報検索サービスのご案内
【2】5月の資格更新セミナー、資格認証セミナー日程変更のお知らせ
【3】IECとRCJの活動
【4】ESD対策に関連する規格の動向(5)
【5】静電気対策Q&A(9)
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【1】RCJ情報検索サービスのご案内

RCJ情報検索システムは、日本電子部品信頼性センターが保有する、知的財産資料の
検索システムです。 半導体の黎明期である1970年代から現在に至るまで、40年以上
にわたり蓄積された、電子デバイスのESD関連及び信頼性に関する知的財産資料から、
必要な文献、情報を容易に検索し、入手が可能となる有料会員制サービスです。
RCJ会員以外の方も、検索可能です。文書のダウンロードをご希望の場合は、有料と
なります。
信頼性・静電気管理技術者向け情報が満載です。ぜひ日々の業務にお役立てください。

詳しくはこちらから:https://rcj.or.jp/explore-system

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【2】5月の資格更新セミナー、資格認証セミナー日程変更のお知らせ

予定しておりました2020年5月12日資格更新セミナー及び5月13日14日の資格認証
セミナーは、COVID-19の感染拡散防止のため開催日を8月5、6、7日に変更いた
しました。新たな予定日は以下の通りです。
ESDコーディネータ資格更新セミナー:2020年8月5日
ESDコーディネータ資格認証セミナー:2020年8月6日、7日

すでにお申込みの方で、8月の予定のご都合が悪い方は、以下の本年度中に開催予定
の資格更新セミナー、資格認証セミナーに変更いただくことも可能です。
ESDコーディネータ資格更新セミナー:2020年9月10日 11月16日
ESDコーディネータ資格認証セミナー:2020年10月19日、20日

また資格有効期限が2020年6月までの方も上記資格更新セミナーを受講いただければ
資格維持とさせていただきます(すでにRCJへご意向の御返事をいただいいている方は
ご連絡の必要はございません)。

ご不明な点等ございましたら以下のメールアドレスまでお問い合わせください。
メールアドレス : info@rcj.or.jp
ホームページからもご確認いただけます:https://rcj.or.jp/esdc-seminar
                   https://rcj.or.jp/update-seminar

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【3】IECとRCJの活動

皆さんもご存知の通りIEC(International Electrotechnical Commission)はISOと
双璧を成す国際的な標準化団体です。IECの扱っている分野は、あらゆる電気・電子
工学に関する技術、規格、測定方法などの標準化です。IECはそれぞれの分野を専門
とする専門委員会TC(Technical committee)で構成されていて、皆さんの関係する
TCはTC101 Electrostatic(静電気)です。この静電気の技術委員会の中も細かく作
業部会に分かれていて、測定方法や静電気対策管理、対策用品の基準などをそれぞ
れの部会で審議し、決定しています。これがIEC 61340シリーズの規格文書として
提供されます。
これらの審議は世界中のTC101委員会の参加国が意見を出し合い行われていきますが、
RCJは日本産業標準調査会(JISC)により承認されたTC101委員会の日本の国内審議団
体として、国内委員会を運営し国際会議からの提案が日本に不利にならないように、
また日本の要望が採用されるように委員会で討議し、TC101へ意見を反映させる重要
な役割を担っている団体です。日頃はIECから提供される討議案件をWeb上で討議して
いますが、年に一度、世界中から委員が集まる国際会議が各国の持ち回りで開かれて
います。2018年は日本で、昨年2019年はニューヨークで開催されました。
来年2021年はスウェーデンで開催される予定です。ちなみにRCJはTC101が設立され
たときからメンバーとして参加しています。

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【4】ESD対策に関連する規格の動向(5)

今回は、「IEC/TR 61340-2-2:2000 Electrostatics- Part 2-2
Measurement methods-Measurement of chargeability 」
(和訳名:測定方法-帯電性の測定方法)についての解説です。
この規格は接触や摩擦などによって生じる静電気を測定する装置や測定方法などに
ついて解説されています。何種類もの測定器が解説されていて、静電気測定をする時
に役立つ参考資料になります。
まず最初に静電気の発生例とその測定に適した測定器について、次にファラデーペー
ル(一般的にはファラデーゲージ)、各種電界計、帯電プレートモニタ、フィード
バック型電位計、接触型電位計などの構造と測定原理について説明されています。
そして最後に帯電性の試験方法として現実の事例を想定した静電気の発生方法と測定
結果の記録方法についてまとめられています。
何か使用する材料や製品について静電気の発生量を比較し評価するときに役立つ資料
といえます。この文書は規格(IS)としてではなく技術報告(TR)として2000年に
公示されましたが、それから改訂されていません。
RCJではこの技術報告を静電気-第2-2部:測定方法-帯電特性の測定JIS C 61340-2-2
として2013年にJIS化しています。

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【5】静電気対策Q&A(9) 

■測定器についての質問 ─────────────────────────

イオナイザの能力を測定する帯電プレートモニタは何を測っているのでしょうか。
原理を教えてください。

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◆回答例◆

帯電プレートモニタの基本構造は、高圧電源、電圧計、タイマー、帯電プレートか
ら構成されています。高圧電源は帯電プレートに高電圧を印加するための電源で、
プラス、マイナス1000V以上の両極を出力できる能力が要求されています。
電圧計は帯電プレートの電圧を測定し、タイマーはプレートに印加された電圧が
イオナイザなどによって下がっていく時間を計測します。帯電プレートは、空気
イオンを吸収するための電極として、プレートの大きさや静電容量、構造などが
規定されています。つまり帯電プレートモニタが計測しているのはプレートの電圧
であって、イオナイザのイオン量などを計測しているわけではありません。結果は
電圧減衰にかかった時間を表示します。
またプレートの電圧を測定することから帯電プレートに電圧を発生させるオフセッ
ト電圧(イオンバランス)も測定できます。通常減衰時間の測定はプレートの電圧が
1000Vから100Vまで下がる時間を計測し、オフセット電圧は0Vからスタートして5分
以内の安定した電圧を読み取ります。イオナイザの性能は、この下がっていく時間
を20秒以内、イオナイザの電圧を下げる能力は±35V以内と規定されています。
またパルスイオナイザの場合は±のピーク値も記録するよう規定されています。