RCJ通信

RCJ通信 第47号(2023年7月6日)

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 第47号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                 2023.7.6発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を
発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼今月のもくじ
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【1】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー開催のお知らせ
【2】第2回ESDコーディネータ大会のご案内
【3】ESD管理に関する用語解説(2)
【4】ESD対策に関連する規格の動向(43)
【5】静電気対策Q&A(47)
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【1】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー開催のお知らせ

ESD COORDINATOR、主任ESD COORDINATOR資格は、3年毎に更新することになってい
ます。資格更新セミナーは、ESD対策技術(規格改定を含め)のリフレッシュの機会を与える
ことを目的としています。 なお、対象者には、7月5日に案内状をメールでお送りしております。
今回は、資格有効期限が以下(1)(2)の方で、資格を維持されるESDコーディネータ、
主任ESDコーディネータの方が対象です。

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(1)2023年6月30日
(2)2023年12月31日
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ご自身の有効期限は、前回の更新時に発行された認証書(A4判の認証書で、資格登録
維持年会費を納入された後に毎年発行される認証カードとは異なります)をご確認ください。
有効期限切れの前後4回の更新セミナーの受講が可能です。

「第46回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー」は、YouTube LiveでWeb同時配信
いたします。受講者のみなさまに事前にお知らせしますYouTubeの専用URLにアクセスしていただ
くだけで受講いただけます。インターネット接続環境とYouTubeをご覧になれるパソコン等があれば、
特別な設定なく受講いただけます。開催日時および会場は以下の通りです。

第46回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーのご案内
日時:2023年9月8日(金) 10:00~16:30
会場:大田区産業プラザ 4階コンベンションホール(東京都大田区南蒲田1-20-20)
    及びYouTube Live配信によるWeb受講
申込み締切日:2023年9月1日(金)
 
詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/update-seminar

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【2】第2回ESDコーディネータ大会のご案内

第46号でご案内させていただきました第2回ESDコーディネータ大会を、2023年10月3日に大田区
産業プラザ2階小展示ホールにて開催いたします。
【前回のご案内で10月30日とご案内いたしましたが、10月3日の間違いです。訂正してお詫び
申し上げます。】
第2回ESDコーディネータ大会は、午前10時より開始し午後4時まで行う予定です。
午前はESDコーディネータ向けのセミナーを企画しています。みなさまにとって重要な規格文書
RCJS 5-1の基となりますIEC61340 5-1の改定状況や5-4の改定状況など今後の静電気対策管理の
方向性についての解説を予定しています。
午後からはグループディスカッションとQ&A等を予定しています。静電気対策では困りごとも多く
また100点満点の解答があるとも限りません。グループディスカッションではESDコーディネータ
として苦労されてきた経験などを基に討議いただきご自身の静電気対策に役立てていただくことを、
またQ&Aでは万全な解答がない問題に対し少しでも解決に結びつくような対策案を討議を交えて
ご提供したいと考えています。
最後に簡単な懇親会をご用意いたします。ESDコーディネータの方々の親睦を図り、ESDコーディ
ネータ間の交流が深まることを願っての企画です。
8月上旬にはお申込みフォームをRCJホームページ内に掲載いたします。お申し込みフォームには
ディスカッションしたいテーマのご記入欄やQ&A用のご質問欄などをご用意する予定です。
ESDコーディネータのみなさまにお役に立つ息の長い企画にしたいと考えておりますのでご参加を
ご検討くださいますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

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【3】ESD管理に関する用語解説(2)

■接地

今回は、電源系を用いた接地について解説します。
前号でも記述しましたが、RCJS-5-1では具体的な電源系接地に関する規定がありません。
IEC 61340-5-1では、『Protective Earth』という用語で規定されており、日本語訳は『保護接地』と
しています。ANSI/ESD-S20.20では、『Equipment Grounding Conductor』という用語で規定され
ており、日本語訳は『装置接地導体』としています。それぞれの定義(原文+和訳)は、次のように
なっています。
・IEC 61340-5-1:Protective Earth
(原文)terminal used to connect parts to earth for safety reasons
(和訳)安全上の理由から部品をアースに接続するために使用される端子
・ANSI/ESD-S20.20:Equipment Grounding Conductor
(原文)The conductor used to connect the non-current carrying metal parts of equipment, raceways and other enclosures to the main service equipment ground path.(ESD ADV 1,0-2017 “Glossary”より抜粋)
(和訳)機器、配線路、その他の筐体の非通電の金属部分を分電盤の接地経路に接続するために使用される導体

なお、IEC 61340-5-1のUser guideであるIEC 61340-5-2:2018 ED2に記載の
『Figure 2a – 8211; North American electrical power system』とANSI/ESD-S20.20が参考にしている
ANSI/ESD S6.1-2019 “Grounding”に記載の『Figure 5 – 8211; Main Service Equipment, Single Phase』とは、
ほぼ同じ構成の図を用いています。つまり、IEC 61340-5-1の『Protective Earth』とANSI/ESD-S20.20の
『Equipment Grounding Conductor』とは、同じ意味であると言えます。
このように、規格間で違った単語が同じ意味を持つ場合がありますので、多くの規格を理解する場合
には注意する必要があります。

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【4】ESD対策に関連する規格の動向(43)

今回はANSI/ESD STM12.1-2019Test Method For the Protection of Electrostatic Discharge Susceptible Items -Seating-Resistance Measurements
について解説します。
まず第1項の目的と適用範囲では、EPA内で使用するESD管理用いすの抵抗測定方法について、椅子を
構成する各パーツと椅子を接地するためのキャスターや鎖などグラウンド接続可能点間までの抵抗測定
方法を解説しています。この測定方法は製品認証の測定を目的としています。またこの規格は着火性の
危険物や液体、粉体、雰囲気には適用されないとしています。2項は参照規格、3項は用語の説明をし
ています。4項は人体安全について述べられており、人体安全が最優先であることと、この試験方法は
高電圧に曝される人員の安全性の判断に使用してはならない、としています。5項は測定機器について
で他の規格でも登場する表面抵抗計です。10V、100Vの測定電圧が出力でき、3乗から11乗Ωまで測定
できる本体と5ポンド電極、キャスターの一つを乗せる金属プレート、そして椅子を乗せる絶縁支持台
です。6項から測定手順で、まず測定サンプルを三つ用意し、椅子の各パーツの表面と測定電極表面
を清掃するとしています。これらを23℃±3℃、12%±3%の環境で48時間以上の前処理を行います。
まず椅子のグラウンド接続可能点(キャスターなど)の機能確認としてこのグラウンド接続可能点同士の
抵抗を測定することでそれぞれのグラウンド接続可能点が有効に機能しているかを確認します。この
グラウンド接続可能点同士の接続が確認できれば椅子を構成する各パーツの抵抗測定は各グラウンド
接続可能点の内一つを使って測定してよいとしています。接地用導電性キャスター一つの下に金属
プレートを置きこのプレートの上に5ポンド電極を置きます。もう一方の5ポンド電極を各パーツの上
に置き、それぞれのキャスター間抵抗を測定します。この規格では測定ポイントを座面5点、背もたれ
人体側を5点反対側を3点、左右ひじ掛け、フットレスト、各脚部の測定を図で指示しています。
6項の最後にはテスト結果報告書の参考例が記載されています。記載の項目は測定日時、温湿度、
前処理時間、測定電圧、測定箇所、測定機器名などを抵抗値(最大、最小、平均、中央値)で報告すると
しています。7項では数値の要求事項をANSI/ESD S20.20に準じるとしていますが、8項では数値は
エンドユーザーが決めることとしています。規定は以上で、最後の付属書にはこの規格の改訂履歴が記載
されています。
次回はRCJS 5-1と関係の深いANSI/ESD S20.20ESD管理プログラムの構築 ESDS等の保護について
解説します。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【5】静電気対策Q&A(47)

■人体接地についての質問 ─────────────────────

EPA内ではリストストラップ着用を基本としていますが、運搬などでリストストラップを外すことは
皆無ではないと思います。このような状況においては、履物/床システムを基本とすることになるの
でしょうか。人体接地の基本的な方法として『基本とは』どの程度を意味しているのでしょうか。

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◆回答例◆

EPA内での運搬時の人体接地は、履物/床システムによるものが基本となります。ご質問にあります
『基本とは』の程度につきましては、前文を例にしますと、履物/床システム以外の接地方法が採用
できないのであれば、この接地方法が必須(100%)になります。他の方法が採用できるのであれば
100%以下となります。近距離の運搬でリストストラップコードの長さの範囲内の移動距離であれば、
リストストラップによる人体接地、履物/床システムによる人体接地のいずれかも選択可能で、
両接地方法が基本となります。
余談ですが、EPA内で履物/床システムによる接地方法の懸念点について書いてみます。椅子に座った
状態での作業時には、
1.リストストラップによる接地、2.履物/床システムによる接地、3.静電気管理用椅子/床システム
による接地が考えられます。椅子作業、特に座面が高い椅子での場合には、足(履物)を常に床につ
けた状態を維持するのは非常に困難なことが予想されます。無意識のうちに、両足が床から離れてし
まうことが考えられます。このため、椅子作業の場合には、履物/床システムによる接地方法は避け
て、他の接地方法を基本としたほうが良いでしょう。