RCJ通信

RCJ通信 第70号(2025年6月5日)

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 第70号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                 2025.6.5発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動を
発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼今月のもくじ
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【1】「ESD管理システム認証」受審のご紹介
【2】次回 RCJ 主任ESD COORDINATOR資格認証セミナー開催のお知らせ
【3】次回エキスパート養成セミナーのご案内
【4】「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」出展社募集のご案内
【5】次回 ESD COORDINATOR資格認証再試験のご案内
【6】静電気対策Q&A(70)
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【1】「ESD管理システム認証」受審のご紹介

日本電子部品信頼性センター(RCJ)では、静電気対策のシステム構築や管理が正し
くなされていることを第三者が証明する「ESD管理システム認証」を行っています。
この認証制度は国際規格を発行するIECが運営する国際認証機関IECQの認証を得る
ことができる制度です。近年、静電気対策は静電気に敏感な電子デバイスを手掛け
る企業にとって必須事項となっており、国際的に規格適合の要求が高まっています。
特に海外のクライアントとのコンセンサスとして、同一規格による静電気対策の履行
を求められることが多くなり、英文のIEC61340 5-1やANSI S20.20への適用が求めら
れます。しかもいくつかのクライアントに対し、それぞれのクライアントの要求に
合わせた静電気対策を行うことになると多額の費用と人的リソースの浪費につなが
ります。
RCJが行う「ESD管理システム認証」は、国際認証機関のIECQの認証が得られること
から国内、国外を問わずその妥当性が高く評価され、各クライアントに対しても強力
なアピール効果が期待できます。RCJが発行するRCJS 5-1は、IEC 61340 5-1と同等と
IECQが認めたことにより、審査は日本語のRCJS 5-1を使って受審することができます。
承認を得た後も静電気対策管理は運用しやすく、ESDコーディネータの労力も軽減さ
れます。ESD管理プロセス認証の受審をお待ちしております。

詳しくはこちらをご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-controlsystem-2

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【2】次回 RCJ 主任ESD COORDINATOR資格認証セミナー開催のお知らせ

第21回 RCJ 主任ESD COORDINATOR資格認証セミナーは、2025年11月13、14日に
開催いたします。
エレクトロニクス産業のあらゆる分野で、静電気管理の重要性が増しており、より
専門性と知識を有する静電気技術者の育成、社内の地位確立・向上が要請されてい
ます。
本セミナーは、ESD COORDINATORの一ランク上の主任ESD COORDINATOR の
認証を行うもので、静電気管理の国際規格である IEC61340 シリーズ規格に基づく
研修と試験を行います。

■第21回 RCJ 主任ESD COORDINATOR資格認証セミナー ────────────

日時:2025年11月13日(木)、14日(金)
場所:(一財)日本電子部品信頼性センター 会議室
対象認証クラス:主任ESD COORDINATOR
受講資格:2002年11月開催の第1回から 2023年5月開催の第44回資格認証セミナーに
     合格した RCJ ESD COORDINATOR登録者で ESD関連実務経験者(2年以上)
セミナー内容:IEC 61340シリーズ規格(静電荷拡散性能試験方法、帯電性試験方法、
     抵抗測定方法、履物の静電気特性試験方法、部品試験方法(HBM、MM)、
     静電気監査方法など)の解説及び試験
教材:上記規格(日本語訳)及びその解説書
(参加を申し込まれた方には前もってお送りします)
講師:(未定)
申込み締切:2025年11月5日(水)
 (定員に達した場合は締切前でも申込みを打ち切ります。)
定員:8名

詳細・お申込みはこちら:https://rcj.or.jp/esdc-director

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【3】次回エキスパート養成セミナーのご案内

エキスパート養成セミナーは、なかなか実感できない静電気の特性や挙動を実験を交えて解説する
セミナーです。実際に静電気帯電測定や表面抵抗測定など実機を使って測定していただき、測定
の問題点などを実感していただきます。工程の静電気対策に従事される方に必要とされる静電気
特性、測定技術、対策方法、管理技術などを養っていただくことを目的としています。
講師が一方的に話を進める講習ではなく、受講者と講師が話し合いながら講習を進めていきます。
お申込み受付を開始いたしました。皆様のご参加をお待ちしております。

■エキスパート養成セミナー ──────────────

開催日:2025年8月27日(水)、28日(木)
会 場:日本電子部品信頼性センター 会議室
定 員:8名(定員に満たなくても開催いたします)

詳細・お申込みはこちら:https://rcj.or.jp/expert-seminar

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【4】「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」出展社募集のご案内

RCJでは、「RCJ信頼性シンポジウム」に併設して、機器、資材、ソフトウェア等の
展示会「RCJ信頼性・ESD対策技術展示会」を10月に開催いたします。
この展示会では、信頼性技術者や生産・製造技術者、品質保証技術者等を対象に、
より進歩した静電気対策技術、信頼性評価技術、故障解析技術、信頼性向上対策の
紹介を目的としています。特に近年、各種電子デバイスが静電気の影響を受けやすく
なっており、静電気対策は必須事項となっております。これら重要な静電気対策や
解析・測定機器の展示会への来場者は、上記シンポジウムへの参加者、ESDコーディ
ネータなど静電気対策に深くかかわっている方が多く、効果的な宣伝が可能です。
また展示会場内においては、各出展社が自社の新技術・新製品を紹介するワークショップ
も開催しています。このワークショップは、静電気対策用品、材料・計測機器等を手掛け
る企業が、対策品選者のキーパーソンに効果的にPRできる絶好の機会となります。
現在出展社募集中です。ぜひこの機会に出展のご検討をお願い申し上げます。

信頼性・ESD対策技術展示会のWebサイトはこちら:https://rcj.or.jp/exhibition-2
お問い合わせメールアドレス:info@rcj.or.jp

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【5】次回 ESD COORDINATOR資格認証再試験のご案内

RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験は、年に4回(2月、4月、8月、
10月)実施しております。次回の再試験は2025年8月1日(金)に実施します。

■RCJ ESD COORDINATOR資格認証再試験 ──────────────────

実施日:2025年8月1日(金) 14:00~16:00
受験資格:RCJ ESD COORDINATOR 資格認証セミナーの既受講者
    (受講後2年間有効)
場 所:(一財)日本電子部品信頼性センター 会議室
定 員:6名
申込締切:2025年7月28日(月)

詳細・お申し込みはこちら:https://rcj.or.jp/esdc-reexamination

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【6】静電気対策Q&A(70 )

■ESD管理用衣類についての質問─────────────────────

ESD管理用衣類にグラウンド端子付きがあると聞きましたが国内で見たことがあり
ません。名称から大変興味があります。どのようなものか教えてください。

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◆回答例◆

ESD管理用衣類はその衣類自体が帯電しにくいことが目的で人体の帯電をなくすこと
は考えられていませんでした。またESD管理用衣類に発生する静電気は接地された
人体を経由して漏洩し帯電しないことが想定されていました。しかし近年になって
衣類に接地端子を付け直接接地することで帯電を積極的に漏洩させることができるよ
うにする、加えてESD管理用衣類にリストストラップのような機能を設けて人体まで
も衣類経由で接地できるようにしてしまおうという衣類が出てきました。日本では
まだ特注品として使用実績があるだけでカタログ製品としてはほとんど販売されてい
ません。この接地端子付きの衣類の試験方法はIEC61340 4-9 2016(JISでは2018年)
に規定されています。ただし人体接地に関しての要求事項として抵抗値や試験方法は
規定されていますが帯電電荷漏洩経路の構造的な規定がなく、衣類の生地を経由した
構造であり接地経路の確実性が乏しく、その要求事項を継続的に維持できるのかどう
か懸念が残ります。
接地端子のないESD管理用衣類に対する要求事項は1×10^5Ω以上1×10^11Ω未満
ですが、人体接地可能な衣類の場合はリストストラップの要求事項と同様に上限値が
3.5×10^7Ω未満と衣類の生地経由の接地抵抗としては厳しい条件となっています。
また人体が接地体に触れていて衣類が電力設備に誤って触れた時の衣類経由の感電
事故も心配です。
2024年に改訂されたIEC61340 5-1に提示される衣類の種類が衣類、グラウンド可能
な衣類、人体接地を含むグラウンド可能な衣類の三つになりましたので、今後日本の
需要状況によっては上記懸念事項が改善され、こういった衣類が日本の企業向けに
市販される日が来るかもしれません。