RCJ通信

RCJ通信 第36号(2022年8月4日)

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 第36号

より良い静電気対策管理のための
RCJ通信
                2022.8.4 発行
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▼RCJ通信
静電気対策管理に従事する方々に向けて、日本電子部品信頼性センター(RCJ)が
開催するイベント情報をはじめ、規格の動向、対策に関するトピックス、RCJの活動
を発信するものです。
静電気対策にたずさわる方々に向けた情報を提供してまいります。

▼「新型コロナウイルス感染予防対策」について
日本電子部品信頼性センターが企画しているセミナー、イベント等は、政府の発表と
感染拡大の状況を鑑みて延期、もしくは中止することがあります。
企画を変更する際は事前に当センターがお送りするメールマガジン、ホームページの
トピックでお知らせいたしますのでご留意ください。
RCJ ESD COORDINATOR資格認証、資格更新セミナーでの新型コロナウイルス感染予防
対策につきましては、ホームページをご参照ください。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/oshirase/2651

▼今月のもくじ
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【1】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーのお申込み受付中です
【2】RCJ 主任 ESD COORDINATOR 資格認証実施要領のご案内
【3】2022年度ESDコーディネータ資格登録維持年会費の電子請求書のお受取りのお願い
【4】ESD対策に関連する規格の動向(32)
【5】静電気対策Q&A(36)
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【1】次回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナーのお申込み受付中です

ESD COORDINATOR、主任ESD COORDINATOR資格は、3年ごとに更新することになっていま
す。資格更新セミナーは、ESD対策技術(規格改定を含め)のリフレッシュの機会を
与えることを目的としています。
今回は、資格有効期限が以下(1)~(4)の方で、資格を維持されるESDコーディネータ、
主任ESDコーディネータの方が対象です。新型コロナの影響を考慮し、有効期限が
2021年6月30日、2021年12月31日の方も対象にしています。ただし、期限切れ後の受講
の場合は、期限切れ後、更新セミナー受講前の期間は認証書が発行されません。

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(1)2021年6月30日(コロナ禍対応)
(2)2021年12月31日(コロナ禍対応)
(3)2022年6月30日
(4)2022年12月31日
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なお有効期限が2020年6月30日、2020年12月31日でコロナ禍の影響で更新セミナーを
受講できなかった方々も受講期限は過ぎていますが、まだ更新を受け付けております
ので、受講のお申込みをご検討ください。

ご自身の有効期限は、前回の更新時に発行された認証書(A4判の認証書で、資格登録
維持年会費を納入された後に毎年発行される認証カードとは異なります)をご確認
ください。有効期限切れの前後4回の更新セミナーの受講が可能です。

2022年9月8日(木)開催の「第42回 RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー」は、
YouTube LiveでWeb同時配信いたします。受講者のみなさまに事前にお知らせします
YouTubeの専用URLにアクセスしていただくだけで受講いただけます。
インターネット接続環境とYouTubeをご覧になれるパソコン等があれば、特別な設定
なく受講いただけます。
Webによる受講は、更新セミナーのお申込みをしていただいた方を対象とし、本来
は会場にお越しいただくことが原則ですが、コロナ感染防止等の対応によって会場
でのご受講が難しい方の救済策としてWebでの受講を可としています。Webによる受
講者もセミナー受講後、課題レポートをご提出いただくことで更新とさせていただ
きます。
RCJでは、ESDコーディネータのみなさまが、コロナ禍が原因でESDコーディネータ
資格を失うことがないよう対応してまいります。

■第42回RCJ ESD COORDINATOR資格更新セミナー ──────────────

日時:2022年9月8日(木)
会場:大田区産業プラザ 2階 小展示ホール(東京都大田区南蒲田1-20-20)
定員:現地70名  Web100名(小展示ホールのため)
※コロナ感染者数の状況によって定員数が変更になる可能性があります。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/update-seminar

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【2】RCJ 主任 ESD COORDINATOR資格認証実施要領のご案内

エレクトロニクス産業のあらゆる分野で、静電気管理の重要性が増しており、より
専門性と知識を有する静電気技術者の育成、社内の地位確立・向上が要請されてい
ます。主任ESD COORDINATORは、ESD COORDINATORの一ランク上の資格であり、静電気
管理の国際規格であるIEC61340シリーズ規格に基づく研修と試験により、認証され
ます。
主任 ESD COORDINATOR資格認証基準は以下の通りです。
(1) ESD COORDINATOR登録者で、その後2年以上の実務経験があること。
(2) 年1回行われるRCJ主催の主任ESD COORDINATORのためのセミナーを受講すること。
セミナー内容は、RCJS-5-1が引用しているIEC 61340シリーズ規格(静電荷拡散性能
試験方法、帯電性試験方法、抵抗測定方法、履物の静電気特性試験方法、部品試験
方法(HBM、MM)、静電気監査方法など)の解説と実演です。
(3) 上記セミナーと同時に行う試験、または再試験(適宜開催)に合格すること。
主任ESD COORDINATORを取得するには、セミナーと試験を受講する必要があります。
2日間の研修・セミナーを行い、2日目の最後に認証試験を行います。セミナーと
試験は年1回(11月)を予定します。今年は、11月24日、25日(場所:RCJ会議室)
です。
上記の資格認証基準を満たすESDコーディネータのみなさまには、資格取得をお勧め
します。

詳細はこちら:https://rcj.or.jp/esdc-director

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【3】2022年度ESDコーディネータ資格登録維持年会費の電子請求書のお受取りのお願い

日頃、弊センターの活動にご理解を賜りまして誠にありがとうございます。
2022年度分のESDコーディネータ資格登録維持年会費のご請求書を4月19日に発行
いたしました。BtoBプラットフォーム請求書のIDをご登録いただいた方は、PDFを
ご確認いただき、ダウンロードをお願いいたします。
BtoBプラットフォーム請求書からのメールが、迷惑メールに振り分けられてしまって
いたというご連絡をいただいております。セキュリティ環境に依るものと考えられ
ますが、ESDコーディネータ資格登録維持年会費の納入がお済みでなく、BtoBプラッ
トフォーム請求書からのメールが届いていないという方は、お手数をおかけいたし
ますが、受信フォルダ以外のフォルダをご確認いただきたくお願いいたします。
また、納入がお済みでない方は、至急、資格更新のご意志、認証カードの発行につ
きまして、ご連絡をいただきたくお願いいたします。
この登録維持年会費は、資格保有者が多人数となりましたESD COORDINATOR資格認証
制度を運営していくための重要な資金です。みなさまからいただきました登録維持
年会費は、認証カードの発行、セミナー事務局の運営維持、ESDコーディネータの
意見交換の場の充実等に充てております。認証カードの1年ごとの発行は、「人事
異動が激しく業務変更も頻繁に起こるので毎年発行してほしい」というESDコーディ
ネータのみなさまのご要望にお応えしたものです。
ご理解とご協力をお願い申し上げます。

認証カード発行申請フォーム:https://rcj.or.jp/esdc-card

BtoBプラットフォームにつきましてご不明な点がございましたら
info@rcj.or.jp までお問い合わせください。

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【4】ESD対策に関連する規格の動向(32)

今回は第33号に続き、
ANSI/ESD STM4.2-2012 For the Protection of Electrostatic Discharge Susceptible Items ESD Protective Worksurfaces-Charge Dissipation Characteristics.
について解説します。この規格はESD管理用作業表面の電荷減衰能力を測定する方法
を定義しています。この規格では帯電プレートモニタと接続する、特殊な測定電極
装置を使用することによって、接地した作業表面へ帯電させた電極を押し当て、測
定電極に接続した帯電プレートモニタで減衰時間を測定する方法を定義しています。
第1項の目的と適用範囲では、目的を「抵抗測定するだけでは検出できない電荷減衰
能力の測定」とし、適用範囲は「この試験はこの規格書で定義する測定装置でのみ
可能」としています。また測定は試験室内や受入検査にのみに使用し、定期点検に
は使用しないとしています。第2項は引用規格、第3項は用語の定義、第4項は人
体安全についての記述となっています。第5項からが本題で5項は試験装置の説明
となっています。装置全体は70cm角程度のシールド可能な筐体、その中には被測定
材料を置く絶縁台、帯電ディスク電極、ディスクの自動昇降機、そして帯電プレート
モニタで構成されています。ディスクは直径約15cm×2.5mm厚の円盤で、この円盤
電極は上下する昇降機に取付けられ、円盤は強く押え付けられないように絶縁糸で
吊下げられています。他には装置検証用の電荷量計と抵抗計が定義されています。
第6項が試験片の定義、第7項が試験片の前処理、第8項が試験手順です。8項で
は試験手順の他に試験装置の検証方法についても記述されています。第9項が結果
報告書の作成例です。この後に装置の詳細な図説が載っています。最後に付属書Bと
して、試験片と測定電極片の接触による帯電が結果を乱すことを懸念し、発生する
静電気の検証方法が定義されています。結果が50V以下であれば問題ないとしていま
す。
次回はANSI/ESD S6.1 2019 Groundingについて解説します。

規格についてはこちらもご参照ください:https://rcj.or.jp/esd-standard

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【5】静電気対策Q&A(36)

■イオナイザについての質問 ────────────────────────

ノズル型イオナイザを使った塵埃除去と付着防止について教えてください。

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◆回答例◆

まず塵埃除去についてご説明します。よくノズル型イオナイザなどを使用すると塵埃
が除去されやすいと言われています。確かにガン、ノズルタイプのイオナイザを使用
して帯電物上の静電気によって付着した塵埃を吹き飛ばすと通常のガン、ノズルに比
べて格段に効果が上がります。静電気除去することで塵埃が剥がれやすくなったため
と思われがちですが、少々効果の理由が異なります。帯電物に付着した塵埃は帯電を
除去しても付着したままです。静電気で付着した塵埃は付着することで帯電物と関係
を結んで安定してしまい、付着したまま静電気除去をしてもこの関係は崩せず、イオ
ナイザで除電できても塵埃は付着したままです。
イオナイザのガン、ノズル等で塵埃除去をすると効果が上がるのは、この関係を強い
空気流で帯電物から塵埃を引きはがし、互いを孤立させてからイオンを供給するため
に本来の除電が完了し再付着が起こらないことで結果的にきれいになります。通常の
ガン、ノズルで帯電物の塵埃を除去しようとしても、帯電物に塵埃が再付着してし
い結果的にきれいになりません。
このことから気流で引きはがせないような塵埃はイオナイザのガン、ノズルを使用し
てもなかなかきれいにはなりません。ファンタイプのイオナイザを使用しても同様で
す。このような場合は帯電物表面を布でふき取りながら除電するなどより塵埃を除去
しやすい方法で塵埃を除去しながら静電気除去を組み合わせて対策することが効果的
です。塵埃の大きさと気流で吹き飛ばせる風速は、10μm程度の塵埃を表面から除去
するには、およそ100m/秒の流速が必要と言われています。また静電気による塵埃吸着
の影響力は、1~3kV程度の帯電があると、帯電していない状態に比べ、サブミクロ
ンの塵埃の沈着速度が10倍以上、沈着量も10倍以上になると言われています。多大な
労力をかけて運用されるクリーンルームのような塵埃を極力少なくした部屋でも、帯
電物があると本来のクリーン度が活かされず労力が無駄になってしまうということに
なります。上記のことからクリーンルームのような清浄空間での静電気による塵埃付
着の問題は、塵埃を除去しようとしても対象の塵埃が小さいためほとんどとれないこ
とから最初から塵埃が付着しないように帯電を持続させない対策の方が効果的という
ことになります。
これに対して一般環境のような塵埃が多く、対象となる塵埃が大きいところでは、帯
電していなくても塵埃は堆積してしまうので、要所、要所でガン、ノズルタイプのイ
オナイザによる除塵除電をするほうが効果的といえます。ただし除去した塵埃が二次
的な汚染を起こさないように集塵することも必要です。